回路設計

アクティブインダクタについて

どうも、さわざわです。

本日一風変わったシリーズで、アクティブインダクタについて触れていくよ。これはアクティブ素子であるMOSを用いて、実効的にはパッシブ素子であるインダクタのような振る舞いをするもので、パッとは気づかず用いてたりもするよ。本来はインダクタ特性を用いたいときに考えて設計するものであるけど。アナログ回路の不思議というかおもしろ特性だと思うので、みんなも勉強していってねい。

この記事を読めば、小信号等価回路の観点からアクティブインダクタについて理解できます。

アクティブインダクタって?

電子回路の教科書とかアナログ回路の教科書とか読んでてもインダクタってほぼ出てこないよね。容量とか抵抗ってMOSにようなアクティブ素子を用いることで表現することも可能だけど、インダクタの場合って配線をぐるぐる巻いたりで面積めっちゃ食うんだね。だからあんまりパッシブ素子としてインダクタは用いないけど(振動成分が顕著になったりで出てほしくない成分って場合もあるけど)、容量とかと同様にMOSのようなアクティブ素子で等価的に表現するのがアクティブインダクタ。

つまりは以下のように低周波ではインピーダンスが小さく、高周波ではインピーダンスが大きくなるってインダクタの特性を、インダクタを用いずに作りましょうって感じだね。

じゃあどうすればいいか思いつくかな?(さわざわは到底思いつかない、、)次項で例を紹介していくよ。

アクティブインダクタの例①

まずは以下の回路だけど、これはソースフォロワだね。ゲートには抵抗Rsがついていて、容量にはゲート・ソース間容量Cgsが見えているよ。これを小信号等価回路で出力インピーダンスを考えてみるね。

小信号等価回路で見ると以下のようになるよ。

ここで出力側のインピーダンスをみるために、Viのac電圧は0Vとしているよ。ここで電流経路が二つあって、一つはnchの相互コンダクタンスgmによってゲート・ソース間電圧Vgsが電流変換されるもの(右上の部分)。もう一つは容量を介して流れるパターンだね(左上の部分)。

これらをもとに、出力Voからみた出力インピーダンスZoを算出してみよう!

一つは枝分かれしているVoのノードにてキルヒホッフの電流則をたてられるね。この際RsとCgsに挟まれているノードをVxと置いているよ。そしてVgs=Vx-Voと表せるね。なので式は以下のように表せるのがわかるかな?

もう一つはRsとCgsによってVoがVxに分圧されているよね。これでVoとVxの関係式を立てられるよ。この時小信号等価回路なのでRsはgndに接地していると考えてよくて、以下のような分圧式が立てられるね。

以上式①と式②を連立して、以下のようにZoが求められたよ。

この時低周波帯域だと、jωCがかかっている項は消えてしまい、以下のように1/gmだけが出力インピーダンスとして見えるよね。

逆に高周波では分母にてgmが見てなくなってしまって分子では1が見えなくなって、出力インピーダンスにはRsが見えることになるね。

なのでこの時にRs>1/gmとなるようにしておくと、以下のように周波数が上がるにつれてZoが1/gm→Rsへと遷移して周波数増加に伴ってZoが大きくなるインダクタのようにふるまうんだ。

これって基本的には想定しないケースが多くて、ソースフォロワを大きな入力インピーダンスによって駆動する場合、出力インピーダンスにはインダクタ成分が入ってしまって、出力についている容量とインダクタが並列に見えてリンギングとして見えることがあるよ。これは安定でないシステムになりうるので、入力インピーダンスを考えて設計する必要があるんだ。

アクティブインダクタの例②

例①のようなソースフォロワはアクティブインダクタとして有名で、かつ入力インピーダンスによって無意識的に設計されてしまうこともあるケースだけど、意図的にアクティブインダクタを作る有名な例をもう一つ紹介するよ。

それが以下のような回路図になっているよ。基本的な考え方は例①と同じなので、さっと小信号等価回路から解いてZoを出してみよっか。

小信号等価回路は以下のようになって、同じように式①と式②を立てて、Zoが算出できるね。

まとめてしまうと例①と同じ形になって、低周波ではZo=1/gm、高周波ではZo=Rsとなるね。なのでRs>1/gmとなるように設計しておけばインダクタとして用いることができるよ。



今日はここまで、ほな。



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