回路設計

低電圧カスコードカレントミラーについて

どうも、さわざわです。

今回はカレントミラーについて、第1弾でカレントミラーの基礎原理、第2弾でカスコードカレントミラーの効能と課題について触れてきて、最後は低電圧カスコードカレントミラーに触れていこうと思うよ。前回までの復習だけどカレントミラーの精度を担保するにはカスコードをつけることが必須だったけど、基本的なカスコード構造を採用するとかなり電圧をかけないと飽和状態で動作できないことが問題だったね。そこで今回の内容になるよ。みんなも勉強していってねい。前回までの内容を見てない方は良ければ先に読んでみてね!
カスコードカレントミラーについて

この記事を読めば、低電圧カスコードカレントミラーについて、効能やバイアスの決め方・作り方などがわかるようになります。

低電圧カスコードカレントミラーの効能

軽く前回の復習だけど、以下のようなカスコードカレントミラーは、出力抵抗が大きい分ミラーする電流がVdsの変動影響を受けにくく、ミラーする電流の精度がいいってことが強みだったけど、入力側でダイオード接続を2段重ねていることから出力電圧Voの最小は2Veff+Vthである必要があり、2VeffよりもVth高くする必要があることで電圧振幅を食いつぶしてしまうことが課題だったね。

本来出力側の動作マージンだけを考慮するなら2Veffだけで事足りるわけで、それを目指したカスコードカレントミラーが、今回扱う低電圧カスコードカレントミラーになるよ。

本題だけど、低電圧カスコードカレントミラーは以下のようになっているよ。ダイオード接続でバイアスを決めていた前回の回路と違って、カスコードデバイスのバイアスはVbとして印加することで駆動しているね。これによって出力側の動作点は、入力側を飽和に維持するためにVth分上げなきゃいけないことは避けられるんだ。実際に式を追ってみてみよう。

前提として、4つのnchが全て飽和状態で駆動するようにVbを設定する必要があるよ。そして簡単化のために、4つのnchは全て同じプロパティとして、基板バイアス効果も無視して考えよう。

まず以下のようにM1の動作点を考慮すると、Vbは最小ドレインソース間電圧であるVeff1より大きく、さらにVgs3増えた値を与えないといけないことがわかるね。つまり以下のような不等式がかけるよ。

んでここで難しいのが、M3のドレインってM1のVgs1を持ってきてることから、Vbを上げすぎると今度はM3が線形に入ってしまうんだ。つまりは、M3のドレインであるVgs1はゲートであるVbよりVth3だけ高い必要があるから、以下のような不等式になるね。

まとめるとVbのレンジは以下のように表せるね。

もちろんVoの最低レベルはこのVbからVthだけ下がったレベルにしないとM4が線形に入ってしまうので、Vbのレンジに対してVoの最低レベルは以下のようになるよね。通常のカスコードカレントミラーでは2Veff+Vth必要であったのに対して、低電圧カスコードカレントミラーでは最低で2Veffで駆動できることがわかったね。

低電圧カスコードカレントミラーのバイアス電圧の作り方①

では次に、今あげた最低電位であるVb=Vth+2Veffのバイアスをどう作るかを解説していくよ。今度カスコードデバイスの電位の作り方も記事にまとめようと思ってるけど、バイアスって決めるだけでなく、その通りに作るってのは思ってるより頭を使うんだ。なぜなら机上で計算したアナログ値って、もちろんそのまま外付け電圧器とかからかけられるわけではなくて、同じく電流源とかから生成する必要があるから、ピッタリその値ってのは大変。

バイアスの作り方は頭をひねらせればいくつかあると思うんだけど、まず今回の代表的な方法は以下のようになるよ。

これはカレントミラーをもう一つ作るやり方で、電流がIrefと同じだったとすると、VbってVgs5=Veff5+Vth5になるね。Vthは他のデバイスと同様にして、Veff5だけ2Veffの価値を持たせたい場合、これってnchのサイズをいじればいいから結構簡単に調整できるんだね。Veffってどういう式で表せたかというと、

となるね。んで、Veffを2倍にしたいならアスペクト比を1/4にすればいいから例えば他のnchよりM5だけLを4倍の長さにすればいいよね。

そうすると、Vgs5=Vb=Vth+Veff5=Vth+2Veffが作れたね。ちなみに単純にLを4倍にしたnchを置いちゃうとばらつき方が他のnchと変わっちゃうので、実際は以下のように他と同じサイズを4段つなげたダイオード接続にして、Lを4倍に見せてVeffを調整するよ。

ちなみにもう気づいてるかもだけど、このやり方って電流源1個増えるのが泣き所。

低電圧カスコードカレントミラーのバイアス電圧の作り方②

もう一つ代表的なやり方をあげとくと、線形抵抗を用いて電流による抵抗の電圧降下(IRドロップっていうよ)でバイアス差をつける方法もあるよ。

結局VbはVgs1(=Vth+Veff)からVeff分だけ高ければいいわけなので、逆算するとこの抵抗にVeff分の電圧がかかれば、抵抗の下のノードはVth+Veff、抵抗の上のノードはVth+2Veffってできるよね。

なので、抵抗にはIrefが流れるから抵抗の大きさを決められて、

となればいいことがわかるね。ただ線形抵抗だとばらつきやすいのが欠点だよ。

今日はここまで、ほな。


雑談枠
昔は乾燥なんてなんのそのって感じだったんだけど最近は肌が悲鳴を上げているのを、文字通り肌で感じてる。夜によく散歩したりするので、保湿とかはやっとかないとってなってる。スキンケアって投資みたいに若いうちからやっといたほうがいいらしいね。年取ったら残ってるものが全然違うとか。

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