回路設計

カスコードカレントミラーについて

どうも、さわざわです。

今回はカレントミラー第2弾で、カスコードカレントミラーについて触れていくよ。前回はカレントミラーについて、基礎特性とその課題について語ってるので、良ければ先にそっちを読んでみてね!
カレントミラーについて

個人的な経験だけどカレントミラーはカスコード構造で用いられることがほとんどだと思ってるよ。これは電流の精度が重要だからだね。んでカスコードカレントミラーを用いることの課題もあるので述べていくよ(カスコード回路の回を読んでもらってたら自明かもだけど)。みんなも勉強していってねい。

この記事を読めば、カスコードカレントミラーを用いることで、通常のカレントミラーより精度がどれくらい高められるかが定量的にわかります。カスコードカレントミラーの欠点も触れて、第3弾へとつなげていきます。

カスコードカレントミラーについて

前回まで出力抵抗が小さいことで、下記のようにチャネル長変調効果きいてVdsがそろわず、電流ミラーの精度が落ちることが挙げられていたね。

そこで出力抵抗を上げるといったらカスコードだぞってことで、カスコードカレントミラーは以下のようにになっているね。

Voからみた抵抗ってM2とM4のカスコードで見れるわけなので、出力抵抗は10-100倍は大きくなることが確認できるね。これによってグラフで見ると右のように飽和後の傾きが非常に寝ることで、Irefから変動が小さくIoを出力できることが視覚的にもわかるかな。

電流精度の定量的な改善解析

次にカスコードにすることでそれくらい電流精度が上がるかってのを確認してみよう。まず前回だと、チャネル長変調効果によってIrefとIoには以下のように差分が生まれてしまうことがあったね。ではこれがカスコードになった際にどうなるかを考えてみよう。

これってΔVが入力として、下図にあるΔVXが出力として考えてどういった伝達関数になるかを考えたらカスコードの効能がわかると思うよ(つまりYのノードが揺れることに対してXのノードがどれくらい変化するのか)。

小信号等価回路は以下のようになってるね(ゲート接地と同じような感じだね)。んでサクサク電流式立ててくと、以下のように伝達関数が出せる。

カスコードを付けたことで、M1とM2の電流差分ってΔVXになっているわけで、計算した伝達関数を代入すると以下のようになるね。

つまりカスコード無しと比べてΔVって(gm4+gmb4)ro4倍だけ減らせることができたことになるね。単純にカスコードによって10-100倍近く電流を減らせたわけなのですごいよね!

ちなみに、さらに出力抵抗を増して精度を上げたい場合はカスコードに加えてLを大きくしたりとか、さらにはレギュレーテッドカスコードってのを使ったりもするよ。

カスコードカレントミラーの課題

以前にカスコード回路の弱点を述べたときと同様で、カスコードカレントミラーの効果は全てのMOSを飽和領域で駆動させることが前提になっているので、全員を飽和で維持させるにはかなり電圧が必要なんだね。実際にそれを考えてみよう。

通常のカレントミラーの場合は、ノードAにはM1がダイオード接続であることからVgs1がかかっていたらM1は飽和で、Aから出力PへのノードはVth分下がってもM2は飽和でいられることからVoが最低でもVeffあればカレントミラーの素子は全て飽和領域で駆動することになるね(この時全nchのプロパティは同じ)。

じゃあ2段になったカスコードカレントミラーはVoがVeff×2あれば十分なのかといわれると、そうじゃないのがこの回路の泣き所。BのノードにはM1とM3でダイオード接続が2つあることからVgs1+Vgs3が駆動に必要になるね。
んで、PにはそこからVth分下がっていいわけだからVgs1+Vgs3-Vthが必要。Vgs1=Vgs3=Veff+Vthとすると、Voは最低でも2Veff+Vthが必要になり閾値電圧1個分が余計にかかることになるんだね。

ここってあくまで電流源で、この上に電流で駆動するアナログ回路乗るわけだから、ここだけで0.5V前後とか余分に電圧を食うのはかなりきついんだね。Vddを上げる他なくなる。これは上記構造がダイオード接続を2つつなげているからであって、かなりのデメリット。

次回予告

これを何とかVeff2個分で何とかなりませんかってのが低電圧カスコードカレントミラーってので、次回はそれを説明していくよ。以下のような回路を用いることでVoが2Veffでも飽和で駆動できるようになるんだけど、その時にVbのバイアスが重要になってくるよ。ここで求められるVbのマージンってどんなもんか考えてみてね。

低電圧カスコードカレントミラーについて



今日はここまで、ほな。




雑談枠
air pods proを愛用してるんだけど、愛着ポイントが着け心地が自然すぎて着けている負荷を全く感じさせないこと。ただ一度着けたままシャワー浴びたことがあって、水没で修理に出したことがある。Apple Storeに持っていたら店員さんガハハと嬉しそうに笑ってた。

おすすめ書籍紹介(Amazonに飛びます)

アナログCMOS集積回路の設計 (基礎編)

アナログCMOS集積回路の設計 (応用編)

Design Of Analog Cmos Integrated Circuit , 2Nd Edition
(↑の原版のIndian版(英語)で2ndからは訳書にない新内容有り、ペーパーバックは安め。英語に抵抗ない方はこっち買うほうが内容的にも値段的にもお得)

Analog Integrated Circuit Design
(網羅的かつ設計観点で深めに学べる印象なのにわかりやすく書いてて初級向け、演習も易しめで取っつきやすい。ただハードカバーのため高い、、)

CMOSアナログ回路入門: LSI設計者のための (半導体シリーズ)
(初学者向け。実用的な内容もあるがあまり深ぼらないので、あくまで勉強するきっかけを作る本な気が。)


Xアカウント
https://x.com/swzw6112


–お問い合わせ–
以下よりお願いします。