どうも、さわざわです。
今回はカレントミラーについて触れていこうと思うよ。今回は3弾構造で1弾目ではカレントミラーの基礎と、2弾目でカスコードカレントミラーについて勉強して、3弾目では低電圧カスコードカレントミラーにについて触れようと思うよ。カレントミラーもアナログ回路において電流を供給する際にリファレンスからカレントミラーを引いてくることがしょっちゅうで、アナログ回路界隈ではかなりレア度に低いものなので、よく知っていて損はないよ。みんなもよかったら勉強していってねい。
この記事を読めば、カレントミラーの使われ方や設計における注意点など基礎特性と課題についてわかります。
カレントミラーとは?
カレントミラーってのはカレント、つまりは電流をミラーするものだよ。電流をミラーするってのは、電源や温度に依存しないようなリファレンス電流を作って、それを各回路ブロックに同じ電流になるようにミラーして持ってきたり、あるいはMOSのアスペクト比を変えて電流値を増やしたり減らしたり調整して持ってきたりするんだ。
実際の最も基本的なカレントミラーの回路図は以下のようになってるよ。ここで出力される電流がどうなるかって考えてみよう。
前提として、これら二つのMOSは飽和領域で動作させてる必要があるよ。そうなると、M1とM2に流れる電流って以下のようになってるよね。ここで二つのnchはゲートを共有してるので、Vgs1=Vgs2でIrefとIoの比がどうなるかというと、
ってなるね。つまりはIrefが参照電流として決まった値の場合、駆動させたいブロックまで持ってきた電流IoってのはMOSのアスペクト比を変えることで調整できるんだ。こんな感じでアナログ回路では幅広く使われるって感じ。
実際は正確なカレントミラーって大変!
上記は理想的なケースで、カレントミラー回路の概念的なものを説明したよ。でも実際ってこうはいかないってことを説明するよ。実際にはIo/Irefには誤差が出てきてしまって、この誤差を抑えることがめっちゃ大事なんだ。
誤差の一番は、チャネル長変調効果が効いてくるってことで、上の電流式にはチャネル長変調効果が考慮されていないよね。チャネル長変調効果は以前の記事で説明してるので、よければ先に読んでみてね!
→チャネル長変調効果と出力抵抗について
んで、チャネル長変調効果を考慮すると電流式って以下のように変わってくるよね。
ここで、重要なのはVds1=Vds2にしないと、アスペクト比だけで電流が決まらなくなってくるってことだね。正確にはVds2がVds1に揃うようにしたくても、以下のようにチャネル長変調効果があるため、Vds2はVds1(=Vgs1)からずれていってしまい正確なIrefからずれていってしまうんだね。
これってM2の出力抵抗が小さいからチャネル長変調効果が著しく出てしまうんだったよね。なので対策は出力抵抗を上げるために、チャネル長を長くするか、カスコード構造にすること。次回ではカスコードカレントミラーについて触れてくよ。
その他精度を悪化させる要因
そのまえに、他にもカレントミラーの誤差の要因があるよ。それは2つのMOSの性能が正しく揃っていることだね。どういうことかっていうと、アスペクト比を変えることで電流の値は調整できるんだけど、この際WやLをいじってしまうとMOSのVthだったり寄生容量の付き方が変わってきてしまうので、M1とM2の間で差分が生まれてしまうんだね(特にLはVthにセンシティブなので、長チャネルかつM1M2でそろえることがマストになってくるよ)。なので実際はアスペクト比を変えるには以下のように、同じサイズをパラレルにおくことで調整することが一般的だよ。
あとはM1とM2が離れてしまうと、近くに消費電力が大きいブロックがいたりで放熱して、動作温度に差分が生まれてしまうことが挙げられるよ。電流は温度がパラメータとしてかなり効いてきてしまうので、フロアプランもケアする必要があるよ。
次回予告
サイズが同じカレントミラーでIrefとIoの差分は以下にようになっているね。これを以下のようなカスコードカレントミラーに変えたときに、差分はどのように変化するだろうか?過去のカスコード回路の記事を参考に、考えてみてね。
→カスコード回路について_利得に触れていく編
今日はここまで、ほな。
雑談枠
YouTubeでサッカーとか格闘技とかみるのにハマってたりするけど、旧石器時代くらいから生で試合みてみたいって言ってる気がする。でも良い試合みれるのってかなりレアなんだろうな。
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