どうも、さわざわです。
今回はミラー効果についてさっくりと触れていこうと思うよ。ミラー効果はアナログ回路の周波数特性を解析するうえで非常に重要になってくるんだね。基本的には悪い効果なんだけど、オペアンプの位相補償とかはこの効果をうまく活用してたりするんだ。応用はまたの機会に述べたいんだけど、今回はミラー効果によってどんな悪いことが起こるのか、基礎的な部分を説明するよ。みんなも勉強していってねい。
この記事を読めばミラー効果の原理と、実際の増幅回路においてどのような影響が出るのかがわかります。
ミラー効果とは?
まずはミラー効果とは何かについて、だね。ミラー効果とはざっくりいうと、容量の両端の応答によって、容量が大きく見えたり小さく見えたりする効果のことだね。例えば以下のような反転増幅回路があったとしよう。
入力がΔV変動したとして、アンプの出力には-A倍のゲインがかかって出てくるわけなんだけど、この時に入力と出力間に容量がついていたとすると、容量の両端の電位差って信号が変動したことでどのように変わるか想像できるかな?
入力側がΔV動いたことに対して、出力側は-ΔV*A動いたわけだから、両端の電位差は信号がかかる前の状態から、ΔV+ΔV*A動いたことになるよね(+極と-極で極性は逆だから出力が負に振れると電位差としては正で見えてくるよ)。つまりこの応答によってΔV(1+A)*Cの電荷が容量に供給されたことになって(容量性電流がゲイン分だけ加わる)、等価的にこの容量は1+A倍だけ増加したように見えるよ。
つまりこの容量の大きさは(1+A)*Cになるんだ。この時の容量をミラー容量って呼ぶよ。
ソース接地回路におけるミラー効果の影響
ソース接地回路では以下のように、Cgdにて必ず寄生容量がつくんだけど、飽和領域では Cgsに比べて小さく出るんだね。でもこれにゲイン分だけ、例えば固有利得が今回100倍だとすると、Cgdの大きさって101倍されるわけで、決して無視できないような値になるね。
特に入力のノードにはゲート容量がかかってて(ゲート酸化膜の容量だね)、基本的に時定数は入力ノードが支配的(第1ポールっていって最初に信号が減衰し始める周波数帯を示すよ)になるよ。ちなみに入力応答のノードは、前段の出力ノードと同義なので、以前に書いたソース接地回路の周波数特性の帯域が、100倍だけ落ちるって想像すれば深刻さがわかるかな。
以前のソース接地回路の周波数特性に触れた記事→ソース接地回路について_小信号等価回路で伝達関数と周波数応答を出そう編
またこの容量が大きいとこの容量経由で信号が抜けていき、ハイパスフィルタのような応答も見えてきてしまうので注意が必要だよ。これは安定性を悪化させることもあるんで恐ろしい。
ミラー効果への対処法
ミラー効果への対処法なんだけど、これはゲインが容量間で見えることで起きるものなので、容量間でゲインが見えないような構造にすればいいんだ。具体的にはカスコードっていう有能すぎる構造があるんで、彼が周波数応答の課題を解決してくれるんだけど、詳しくはカスコード回路の記事にて説明するねん。
カスコード回路(周波数応答)の記事→カスコード回路について_周波数応答と電圧スイングに触れていく編
容量が小さく見える例
反転増幅回路においては容量が非常に大きく見えてしまって困ったって感じだけど、このミラー効果が容量を小さく見せてくれる例ももちろんあるよ。
例えば以下のように同相の信号が並列に伝達されてたりして、ゲインが異なって違う振り方をしている場合は、この配線間の容量って振幅の差分だけ小さく見えるんだね。最もこの容量が大きいとクロストークになるので、寄生容量はケアする必要はあるけど、容量を減らしてくれるのはありがたいよね。
他にはソースフォロワとか。彼は信号経路においてCgsが見えるわけだけど、ソースフォロワは正方向のゲインがかかるので、Cgsが本来の大きさよりゲイン分だけ小さく見えるわけだね(最もセトリング中に容量間の電位差は変わってくるから、容量の見え方って逐一変動していくけど)。
ちなみに単純なソースフォロワだけだと、ゲインって1を超えることはないので、容量がただ正味より小さく見えるだけだけど、例えばさらに同相のゲインをかけたりして、容量間にAv>1のゲインをかけたりすると、ミラー容量はもとの容量分が見えなくなるだけでなく、負の値、つまりは負性容量として働くことになるよ。回路的な負性容量の意味って、本来充電されるような応答をする中で、負性容量分は放電されるってことで、逆の振る舞いをするってことだね。これは寄生成分を減らすことで用いられることもあるよ。
ミラー容量はオペアンプの位相補償などで用いられたり、一般的に悪い特性を活かすような設計技術もあるので、後々紹介できればと!
今日はここまで、ほな。
雑談枠
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