回路設計

ソース接地回路について_小信号等価回路を理解しよう編

どうも、さわざわです。

今回はソース接地回路について、伝達関数と周波数応答について、特に基礎的なところを触れていくよ。ソース接地回路といえばアナログ回路の一番基礎的なブロックとして扱われることが多いよね。ソース接地回路1つとっても、いろんなトレードオフを持っていてアナログ回路の難しさをよく表してるなぁと感心しながら勉強した記憶があるし、実際アプリケーションな回路でもこういった基礎的なブロックが用いられてたりして、やっぱり基礎をおさえておくことが回路を読み解くうえ、そして設計するうえで大切だと感じるよ。みんなも勉強していってねい。
本記事を見たらソース接地回路の一部について、特に今回は負荷をPMOSダイオードとした場合の小信号等価回路の考え方、伝達関数やゲイン、周波数特性についてわかるようになります。今回は前半後半に分けていて、前半は小信号等価回路の考え方がメインです。後日さらにふかぼってく予定なのでお楽しみに。

ソース接地回路とは

今回扱うのは、前回予告した以下のソース接地回路にするよ。というのはソース接地回路っていっても入力デバイスがNMOSやPMOSに変わったり、負荷デバイスがいろいろ変わったり、求めたい特性によって若干変化するんだよね。ちなみに入力デバイスはvinがゲートに入るMOSのことをいって、負荷デバイスは出力voutからみて入力デバイスでない側のデバイスのことを言うよ。

んで入力デバイスのソース(ソースは矢印が付いてる側の端子だね)がgndに接地されてるよね。なのでこの回路をソース接地回路というよ。最も基礎的なアンプといっても過言じゃなくて、小信号にゲインをかけて出力させる回路だよ。小信号ってのは次項で解説するよん。

小信号等価回路の考え方

アナログ回路の考え方で小信号等価回路ってのがあるよ。これはdc電圧(変化しない電圧)を与えて回路のMOSを飽和領域で動作させているような状態で、そのdcレベルから変化分の電圧(ac電圧といっていい)で回路が如何に応答するかをみることが重要になる。これはもちろん回路が飽和領域で動作するように動作点を決めることも大事なんだけどね。
んでMOSの動作点が変わるような大振幅の入力に対する応答を大信号なんて言ったりして、逆に動作点が変わらない若干の入力変化分を小信号って言って、動作点さえ抑えとけば後は小信号の応答で考えようってことで回路を簡易的に書き換えることができる。
これを小信号等価回路って言ったりして、小信号に対してゲインがどんなもんか(acだから変化分がどれくらい増えるかってことだね)、直感的に理解するのに役立つんだ。

NMOSの小信号等価回路

例えば以下のnch。MOSってのは電圧を電流に変換するデバイス(電圧で電流を制御してるともいえるかな)で、その変換能力を相互コンダクタンスgmっていうんだ。
例えば入力に小信号vinが入るとゲート・ソース間の電圧vgsを電流に変えようとして、今回はソースがgndだからvgsはvinと等価だね。んで小信号vgsに対して電流の変化分を出すから、nchに流れる変化分の電流はids=vgs*gmと表せるよ。

なのでvgsの電圧変化が見える場合、gmが効いて電流が変化すると理解しよう。

vgsってのはMOSの入力特性なんて言ったりするんだけど、MOSには出力特性ってのもあってこれはドレイン・ソース間電圧vdsが変化した際に電流がどれくらい変化するかって応答だね。今回ドレイン電圧はvoutでソース電圧がgndだからvdsとvoutは等価だね。

そのうち詳しく話すかもだけど、MOSにはチャネル長変調効果ってのがあって、理想的には飽和領域で動作させてるMOSの電流はvdsには依存しなくて定電流源になってほしいんだけど、実際はvdsの変化でidsが変化しちゃうんだ。これはMOSの電圧-電流変換能力ではなく単純に出力からの電流変化を見てるんで、変化パラメータを出力抵抗ro(これは小信号抵抗で電圧に対して電流の変化分の傾きで出るので、線形抵抗とはイメージが違うよ!)で表して、ids=vds/roとかける。

なのでvdsの電圧変化が見える場合、roが効いて電流が変化すると理解しよう。

そして重要なのは、vgsの変化に対してgmが効いて電流の変化、vdsの変化に対してroが効いて電流が変化、これら二つは独立してると仮定できるってことだよ。つまり二つの電流変化は並列で、nchを小信号等価回路で表すと以下の右のようになる。実際は基板バイアス効果ってのがあるけど今回は無視できるよ(ソース電圧に変化があると出てくる)。

NMOSの伝達関数の計算

NMOSを小信号モデルでかけたので、ついでに伝達関数を計算してゲインを計算してみようと思うよ。小信号等価回路からはキルヒホッフの電流則でvinとvoutの関係を簡単に導出できるから便利。gmvinはすでに電流表記なので、roにかかる電圧から電流表記でどちらもgndへ電流が流れることを考えると、以下のような関係からゲインAvが計算できるね。

ここでnchは入力信号を出力する際に-gmro倍する能力があることを示してるけど、これをMOSの固有利得っていうよ。プロセスによって異なるけどアナログ回路ではこの値は10~100だったりするよ。設計するうえでのこういったデバイスパラメータの話も今後させてねん。

ソース接地回路の小信号等価回路はどうかける?

じゃあ最初のソース接地回路は、小信号等価回路で表すとどうなるかな。考えてみてほしい。もう一つ重要なことがあって、小信号等価回路の場合にgndってdc電圧が基本0Vでac電圧も基本は0Vだよね。じゃあ電源電圧vddって例えばdc電圧が1.8Vだったとして、ac電圧はいくつになるかな?

そうだね。
小信号等価回路の場合は変化分だけ応答を見る回路だから、gndもvddも同じく接地としてみなせるんだ。そうなったときにソース接地回路の等価回路は右のようになって、pchのダイオードはどうなるか?の中を考えてみてね!
等価回路までできれば、キルヒホッフの電流則からvinとvoutの関係を出して伝達関数が計算出来て、小信号ゲインまでたどり着けるよ。また、出力にCoがつくと周波数応答もみえるよん。

今回は後半に続くよん。上記を計算したら進んでね!
ソース接地回路について_小信号等価回路で伝達関数と周波数応答を出そう編


雑談枠
さわざわ界隈で最強の調味料はポン酢だと思ってる。焼き餃子にもポン酢かけたいし、お刺身もポン酢が好き。料理の「さしすせそ」ならぬ、「さしすせそぽん」やね。「す」に含まれないんかいっつってな、がはは。

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